テコンドーの歴史をみたら・・・◇◆ 空手に追われるテコンドー…東京五輪で「マーシャルアーツ」ビッグ2対決 ◆◇
2020年、東京の空に2つの太陽が浮かび上がる。 オリンピックの舞台では決して会うことがなさそうだった2種目、テコンドーと空手。正式競技として並んで2020年の東京五輪でプライドをかけた競争を繰り広げる。 マーシャルアーツ(武器を使わない東洋武術の通称)のグローバル2大山脈と指折り数えられる種目であるだけに、五輪の舞台で激しい競争は避けられない。 2013年に五輪の中核競技の地位を得たテコンドーは4年ぶりに類似種目である空手の挑戦を受ける境遇になった。
国際オリンピック委員会(IOC)は昨年8月、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた第129回総会で、▼野球・ソフトボール▼サーフィン▼スケートボード▼スポーツクライミングとともに空手を2020年東京五輪に限り正式競技として承認した。 一時的ではあるが大会組織委員会と日本政府の長期にわたる水面下の努力が実を結んだ瞬間だった。 IOCは進行方式と規則が類似した種目群の場合、そのうち代表性を持つ1種目だけを五輪に導入する。 テコンドーはこれまで類似種目である空手や武術などを押さえ五輪で独占的な地位を享受してきた。
日本政府と日本オリンピック委員会(JOC)は空手が五輪の舞台で印象的なデビュー戦を行えるよう総力戦を上げている。東京五輪でテコンドーを一般多目的体育館に割り当てたのと違い空手は全競技を武道館で行うことにした。 武道館は相撲や柔道など日本人が国技とする種目の競技場所として特別な意味を持つ空間だ。 武道館で満員の観衆の熱い応援の中で空手の競技を行いIOCにアピールするというのが日本側の戦略だ。
空手関係者らは2020年に続き2024年の五輪にも空手が残留すると期待している。 2024年の五輪開催権をめぐり競争しているフランスのパリと米国のロサンゼルスがともに空手普及率が高い都市であるためだ。 テコンドーは五輪の中核競技だが、2024年五輪に先立ち再評価作業を経なければならない。 2024年にもテコンドーと空手が五輪の舞台で競争する可能性は大きい。
◆世界で1億人ずつの競技人口、パートナーでありライバル
テコンドーと空手は韓日両国の歴史的・文化的特徴に沿って進化した。 空手は沖縄地方の護身用伝統武術である「沖縄手」を基盤に作られた。 テコンドーは手搏・拳法・テッキョンなど韓民族の歴史とともに成長した素手武芸の精神と動作を基盤に誕生した。 これと関連し世界テコンドー連盟(WTF)のヤン・ジンバン事務局長は、「2種目とも拳と足を一緒に使うが、技術を整えていく過程でテコンドーは蹴り、空手は拳での攻撃を中心に進化し特徴が変わった」と話す。 世界に1億人ずつの競技人口を持つ2種目は国際舞台で東洋武道の優秀性をアピールするパートナーでありライバル関係だ。
テコンドーと空手は1970年代にも五輪種目入りをめぐり激しい競争を繰り広げた。 当時は空手が競技人口の規模と国際社会への影響力ではるかに先を行っていたが、空手関連の国際組織がいくつかに分裂した隙を利用してテコンドー関係者がWTFを中心に一致団結し勝者となった。 88年のソウル五輪での公開競技採択を契機に、2000年のシドニー五輪で正式競技に昇格したテコンドーは、その後電子防具とビデオ判定システムを導入し慢性的な判定をめぐる問題を大幅に減らした。 合わせて競技規則と採点基準を何度も改定し、華麗な技術と攻撃的競技を奨励する方向に着実に進化中だ。 一部では「五輪のテコンドーは単調で退屈だ」と酷評する。 しかしメダル圏に近い選手らの慎重な競技が主にテレビの電波に乗せられて出てきた誤解だというのがテコンドー関係者らの抗弁だ。 昨年のリオ五輪期間にテコンドーは世界3億9000万人がテレビで見守った人気コンテンツだった。
◆テコンドー、リオ五輪での座席占有率93%
WTFのチョ・ジョンウォン総裁は、「テコンドーの五輪座席シェアは2012年のロンドン大会では99.8%で、昨年のリオ大会も93%と非常に高かった」と説明した。 その上で、「リオ五輪期間にテコンドー会場を訪問したIOCのバッハ会長が当初予定した30分をはるかに超え1時間以上競技を見守った。 バッハ会長から『攻撃中心の熱い競技進行が印象的だった。 テコンドーを五輪に似合うスポーツへと発展させてくれてありがたい』とあいさつされ満たされた」と話した。
2020年の東京五輪を控えテコンドーは新たな進化を準備している。 東京がテコンドー不毛の地であるだけに、空手と直接的に競争するよりは差別化に注力することにした。 WTFは▽電子防具のデザイン改善▽カラー道着の普及率拡大▽照明と音響効果の活用などを通じてテコンドー競技の没入度を高める案を推進中だ。 競技規則も攻撃に重点を置く方向で見直した。 胴攻撃の場合、拳と足の区分なく成功すれば1点ずつ与えた既存の規定を変え、足で蹴る胴攻撃の配点を2点に増やした。防御中心の消極的な試合運びに対しては警告なくすぐに減点する。 相手の攻撃を遮断するために片足を上げてプレーする行為も3秒以上続けば減点対象だ。
WTFは新たに導入した試合進行方式と点数規定を22日に全羅北道茂朱(チョンラブクド・ムジュ)で開幕する世界テコンドー選手権で採用し点検する。 ヤン・ジンバン事務局長は「変更された方式でシミュレーションした結果、熱い乱打戦を中心に試合スタイルが変わり、選手当たり平均得点が20点以上に増えた。 茂朱世界選手権で既存のランキング秩序が崩れる可能性がある。 さらに強く攻撃する選手が生き残る時代が来るだろう」と自信を示した。チョ総裁は「中長期的には男女混成団体戦、構えなど新たな種目を五輪に追加導入し参加対象の幅を広げる予定だ。 合わせて世界テコンドー平和奉仕財団を中心に低開発国と難民キャンプのテコンドー普及を進め、世界平和に寄与するグローバル武道として認められたい」と強調した。--- 中央日報日本語版(2017年06月20日)より 抜粋 ---