国家という体を成してなく 緩衝地帯としての役にも立たない・・・◇◆ 【北ミサイル】 韓国大統領選で“北風”吹かず 鈍い対北危機意識 ◆◇
【ソウル=名村隆寛】北朝鮮は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免・逮捕により5月9日に大統領選を控える韓国の政権過渡期に弾道ミサイルを発射した。 韓国軍合同参謀本部は5日、「無謀な挑発継続は北の政権の没落を早める」との声明で警告。 韓国外務省も「強く糾弾する」との論評を発表した。
韓国大統領府は同日、国家安全保障会議を開き、北朝鮮が核実験などさらなる挑発に出れば強力に対応する方針を固めた。 ただ、これらの警告声明や対応は、北朝鮮が核やミサイルによる挑発をするたびに韓国政府が繰り返しているものだ。 韓国のニュース番組も専門家を出演させ、分析報道を行ったが、これも見慣れた恒例のもの。 一般国民レベルでは北の挑発に対する緊張感はほとんどない。
かつて韓国では、大統領選挙や総選挙の前に北朝鮮が軍事挑発することを「北風」と呼び、保守系の候補に有利に作用してきた先例がある。 しかし、最近の北朝鮮による頻繁な挑発に国民は慣れてしまい、危機意識は薄れている。 次期大統領選の最大の争点は北朝鮮や統一ではなく、国民生活と経済だ。事実上、選挙戦に突入した中、各候補も生活の向上などを強く訴えている。
主要候補のうち、左派の最大野党「共に民主党」の公認候補、文在寅(ムン・ジェイン)前党代表が北朝鮮との対話や対北経済協力事業の開城(ケソン)工業団地の稼働再開を方針として明言しており、その親北ぶりが保守派から批判を受けている。 しかし、その文氏が支持率では30%以上を安定的に維持しトップを走る。
保守系に有利に働く選挙前の“北風効果”は現在の韓国では死語に近いものとなっている。 軍や外務省をはじめ韓国政府では危機感を強めているが、世論にはそれが伝わっていない。 北朝鮮が核実験をしようがミサイルを発射しようが、一般国民には現実感が伴っていない。 こうした現状に第三者の間では「北からの攻撃と被害を実際に受け、初めて現実に気付くのではないか」(ソウルの外交筋)との冷めた見方も少なくない。--- 産経ニュース(2017.4.5)より 抜粋 ---