憲法をキッチリ改正すると「何でも憲法違反だ」っていう難癖弁護士の仕事がなくなり・・・◇◆ 「左がかった人たち、安倍政権をたたきつぶそうと必死」 阿比留編集委員が講演 ◆◇
産経新聞のコラム「極言御免」を手がける阿比留瑠比・政治部編集委員兼論説委員が、松江市で「安倍政権と日本の将来」と題して講演した。 経営者らの会合に講師として招かれた阿比留編集委員は、国会運営や憲法改正などさまざまなトピックスを挙げ、取材現場で耳にした安部晋三首相の「肉声」を交えながら、メディアの問題点を指摘するとともに、わが国の行く末について見通しを示した。 主な講演内容は次の通り。
メディアのバカ騒ぎ
多くの新聞が「共謀罪」と印象操作した「テロ等準備罪」の法律が成立した。 世界中で同種の法律を持たない国がいくつあるか。 日本が何か特別なことをやろうとしたわけではなく、世界標準に加わろうとしているだけ。 それも“ザル法”で、だ。 少し前には、特定秘密保護法をめぐるバカ騒ぎがあった。 多くのメディアは、「暗黒社会が訪れる」「戦前回帰だ」「映画が作れなくなる」「小説が書けなくなる」と騒いだ。
その次には、集団的自衛権を限定的に容認する安全保障関連法が成立。 このときも、新聞やテレビは「徴兵制が復活する」「米国が世界の裏側で起こす戦争に日本が参加させられる」などと、さんざんあおった。 さて、そんなことが1つでもあったか。「いい加減にしろ」と言いたい。 左がかった人たちは、戦後の既得権益者としてぬるま湯にどっぷりつかっていたいのに、このまま憲法が変えられるとそれが許されなくなるから、安倍政権をたたきつぶそうと、必死になっているのだ。
反対派の主張とは「いつも逆」
安倍政権は特定秘密保護法を作ったとき、内閣支持率を10ポイント程度下げた。 支持率は、内閣にとって相当に大きな政治的資産だが、それを10ポイントも下げてまで不人気法案を通したのは、世間で言われるように「戦争がしたい」という理由であるわけがない。 必要だったからに決まっている。 今や世界はテロの時代。 そんな中で、特定秘密保護法があることで、世界の国々と情報のやり取りが簡単にでき、それまで入ってこなかった機密情報が日本政府に寄せられるようになった。
安全保障関連法も、そうだ。反対していた人たちが「世界の裏側で戦争を起こす」と言っていた米国は、「世界の警察官ではない」と宣言。すると、ISのような勢力が力を伸ばし、中国は東シナ海や南シナ海で海洋進出を既成事実化していく。 力の空白が生まれたら、それを埋めるためにどこかが出てくるというのは、世界史・政治学の常識。 日本にとって喫緊の課題は尖閣諸島で、ここを中国が軍事占領したら、日本はどうするか。 米国は、たかが日本の無人島のために血を流したり莫大(ばくだい)なカネを使ったりしてくれるか。
そこで、日本政府は集団的自衛権の行使を一部ながら容認し、日本が巻き込まれる恐れのある戦争に、米国も巻き込んでちゃんと守ってもらおう、と安全保障関連法を作った。 反対派の主張とは、まったく逆なのだ。
金正恩氏も計算外?
今国会では何が取り上げられていたかというと、前半は「森友問題」で後半は「加計問題」。 北朝鮮が何発ミサイルを飛ばしても、そればかりだった。 金正恩氏は日本をびびらせようと思っているのに、まったく無反応。 彼も計算外だったのではないか。
今年5月3日、安倍首相は、憲法改正の具体的な目標と中身を提示した。 「9条に自衛隊の存在を明記する」というのは、多くの人たちが9条に思い入れと思い込みを持ち、条文を消すのは抵抗がある中、現実的であり名案だと思う。 自衛隊に対し、国民の9割が親しみを持つ一方、憲法学者の7割が「憲法違反だ」と述べるという矛盾を解消するのは、非常に大事なことだ。
憲法改正に対し、左系メディアは「国民の機運が盛り上がっていない」と言う。 彼らは「立憲主義」という言葉が好きなはずなのに、憲法が自衛隊を違憲のような状態に置いているのを平気で見逃している。
安倍首相再登板の理由
かつて「もはや戦後ではない」と言われてから半世紀、中曽根内閣が「戦後政治の総決算」と言ってから30年以上がたつのに、私たちはまだ「戦後」という言葉にしばられている。 中国や韓国は繰り返し、「戦後の枠組みを守れ」と言う。
戦後の枠組みとは、第二次大戦における戦勝国と敗戦国の枠組みのこと。 彼らや日本の左翼の人たちは、日本を永久に敗戦国のままにしておきたいのだ。 戦争の反省や過去の歴史に学ぶ姿勢は大切だが、70年以上前のことで、ずっと責められ続けなければならないのは、おかしい。 戦後70年談話で、白人による植民地が世界に広がった事実を盛り込みつつ、米国も中韓も文句がつけられないよう工夫して高い評価を得た。
安倍首相は「歴史問題は難しい。匍匐(ほふく)前進で行かなければならない」と言っていた。まどろっこしく、はっきり分かりやすい成果は少ないが、それでも大きく進んでいる。 一度辞めた総理の座を再び目指したのはなぜか。 歴史問題にしても憲法改正も拉致問題も、彼のほかにやる人間がいないからだ。
憲法を日本人の手に
私たちは戦後、憲法をまったく触っていない。 「戦後」を終わらせるには、憲法を一条でも一項でも書き換えることが必要だ。 「憲法は日本人が70年にわたり育んできた」という人がいるが、これは嘘。 「育む」とは、手塩にかけて愛情を注ぎ、手取り足取り育てることだ。
私たちは、憲法を神棚の上に置いて遠くから眺めるだけで、ほこりを払おうともしてこなかった。 日本人の手で少しでも変えることによって、憲法は日本人の手に取り戻され、戦後の終わる一歩が踏み出せる。 それをやろうとしている安倍政権には、匍匐前進でもいいから進めてほしいと心から願っている。--- 産経 WEST(2017.7.2)より 抜粋 ---