出来もしないのに・・・◇◆ 平昌五輪:資金も熱気もない平昌、盛り上がる東京 ◆◇
冬季スポーツの世界的祭典である冬季五輪がちょうど200日後に韓国江原道平昌郡で開催される。そして3年後の2020年7月24日には東京で夏季五輪が開幕する。 この2つの大会のムードは冬と夏の違いくらい大きく異なっている。 あと7カ月も残っていない平昌五輪はまだ寒々とした雰囲気の中で「関心を持ってほしい」と呼び掛けているようなありさまだが、それに対してあと3年も残っている東京はすでに熱気であふれている。
冷え切っている平昌の五輪ムードは興行不振に直結している。 平昌冬季五輪組織委員会によると、第1次販売期間(今年2月-6月)に売れた五輪チケットは総販売目標枚数(107万枚)の21%(22万9000枚)にとどまっているという。 このうち、国内販売分は目標枚数(75万枚)の6.9%(5万2000枚)だ。組織委員会関係者は「予想よりもチケットが売れず、懸念しているのは事実だ」と言った。 五輪の主な開催地となる平昌地域の住民の間では「冬季五輪と夏季五輪では規模が違うが、1988年のソウル五輪の時とは全く違う」という声が上がっている。 自治体が実施する環境改善事業への住民参加が予想より振るわないのも、こうした理由のためだと言われている。
一方、3年後に五輪を開催する日本ではすでにあちこちに熱気が広がっている。 政府と企業は「五輪を通じて日本の技術を世界に知らしめる」として、さまざまなアイデアを出している。 その代表例には、国土交通省は昨年、マラソン・競歩・自転車のコースを特殊舗装して路面温度を4.8℃下げる実験に成功したことなどがある。 民間投資も活発に行われている。例えば、六本木ヒルズなどを開発して有名になった森ビルが4000億円をかけて東京・虎ノ門一帯を再開発している事業などだ。 このように、東京五輪による経済効果は合計32兆3000億円に達し、雇用も194万人増加するという見方もある。 こうしたムードを反映するかのように、東京五輪組織委員会は2015年1月に目標を立てた後援金約1兆5000億ウォン(約1500億円)を3カ月で達成した。 昨年末の時点で4兆ウォン(約4000億円)を上回ったとのことだ。
平昌としてはうらやましい限りの熱気だ。平昌冬季五輪組織委員会は大会を行うのに必要なスポンサー・寄付後援金として9400億ウォン(約940億円)を目標にした。 公共機関・民間企業などを問わず後援を募ったが、23日までで8800億ウォン(約880億円)を集るのにとどまり、まだ目標に500億ウォン(約50億円)足りない。 資金不足なのは組織委員会だけではない。江原道は先日、国会補正予算案として約560億ウォン(約56億円)を新たに確保したが、これは要求していた事業費の約80%だ。
このような状況では国民の関心も低い。今年6月の文化体育観光部(省に相当)の発表によると、国民の973人のうち、「平昌五輪を直接観戦したい」と答えた人は8.9%だった。 「平昌五輪に関心がある」という回答も40.3%にとどまった。
しかし、専門家らは「あきらめずに残り200日を充実させれば道がないわけではない」と助言する。 ひとまず国内の熱気を盛り上げる方法を見いだすべきだという声が多い。 国民大学体育学科のイ・デテク教授は「現在の平昌は『興行ではなく赤字をどれだけ減らそうか』の方に関心が注がれているほど深刻な状況だ。 あらゆる可能性を開いて平昌を活性化させることを考えなければならない」と語った。 細かく分けて102ある平昌五輪の一部種目を首都圏に移す案など、超強硬手段も考えるべきだという意見もある。 冬季スポーツで最も人気があるアイスホッケーの一部や、場所の影響を受けない種目の一部をソウルで分散開催すれば熱気拡大に役立つのでは、ということだ。 分散開催などシステムを変えるのは日時が迫っているという現実的な難しさもある。 国際オリンピック委員会(IOC)や五輪主管放送局(米NBC)との協議も必要だ。 しかし、南北分散開催の可能性まで取りざたされているのだから、大会成功に向けた意志さえあれば、できないことはないという声もある。
同時に「今すぐできることは今すぐ始めるべきだ」という提言もある。 文化マーケティング専門家のイ・ギョンソン・ウィズカルチャー代表(平昌五輪諮問委員)は「江原道と平昌の独自の文化をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブックやインスタグラムなどで拡散し、露出頻度を高める戦略が必要だ」と話す。 新たに大型投資をする時間もなく、財源も不足している状況なので、インターネット環境を積極的に活用すべきだということだ。 スポーツ評論家のチェ・ドンホ氏は「これまでの平昌五輪準備過程はとても消極的だった。 人気種目の選手のドラマチックなエピソードを発掘し、これを五輪ムード拡大に積極的に活用すべきだ。 もう遅いとあきらめてはならない」と訴えた。
東京=金秀恵(キム・スへ)特派員 , イ・テドン記者 , チュ・ヒョンシク記者--- 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 (2017/07/30)より 抜粋 ---