国旗に准ずる旗であることは否定できない事実で・・・◇◆ サッカー旭日旗事件 朝日の社旗は旭日旗なのに、なぜAFCに抗議しないのか 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦 ◆◇
4月25日、韓国の水原で行われたサッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の水原(韓国)-J1川崎フロンターレ戦で、水原サポーターが川崎サポーターの掲げた旭日旗を取り上げる騒ぎが発生した。 この事件について、アジア・サッカー連盟(AFC)は5月4日、川崎に対して1年間の執行猶予つきで、ホームでの1試合を無観客試合にし、罰金1万5千ドル(約170万円)を科す処分を行った。
読売新聞は同13日の社説で「ピッチの外でのトラブルは、残念な事態だが、処分の理由には問題がある。 旭日旗を『政治的主張に関連する差別的象徴』としたAFCの認定には同調できない」と異議を述べた。 産経新聞は同14日の主張で「『旭日旗』が、理不尽なバッシングにさらされている」と疑問視し、処分は「差別を禁ずる規定に反したという理由だが、誤った認識に基づく不当な処分であり、撤回を求めたい」とする。
さらに「近年になって韓国は、旭日旗を『戦犯旗』『軍国主義の象徴』と非難しだした。 ナチス党のハーケンクロイツ旗と同列視する極論まで韓国にあるが、これらは明らかな言いがかりである」と、韓国を厳しく糾弾している。 旭日旗問題は、日本に対する不当な冤罪(えんざい)と戦う「歴史戦」の問題であるから、まことに当然な主張である。
読売、産経の両社説がその中で言及するように、朝日新聞の社旗は明らかに旭日旗である。 しかしこの問題についての朝日の社説はなく、5月11日の「ニュースQ3」欄で取り上げているが、処分に対する批判は全く見られない。 反対に同5日のスポーツ欄の記事では、「処分への異議申し立てなどの手段は賢明とは思えない。 スポーツ界から政治的な問題に広げることになりかねない」とする。 そもそも旭日旗問題において、朝日は決して部外者ではなく、立派な当事者に他ならない。 旭日旗を使い続けている朝日こそ、旭日旗を「政治的主張に関連する差別的象徴」と認定したAFCに対して、強硬に抗議しなければならない立場にある。
2001年、中国では趙薇(ヴィッキー・チャオ)という人気女優が、旭日旗風のデザインの服を着たことが問題になり、さらに暴漢に襲われて謝罪したことがあった。 しかしその後、中国人が旭日旗に抗議しているという話は聞かない。 近年では、韓国人が旭日旗風のデザインを熱心に攻撃しているようだが、朝日の社旗に抗議しているという話は一向に聞かない。 奇怪千万であり、この事実こそ彼らが本気でやっていないことの証拠ではないか。 それとも朝日は抗議を受けている事実をひた隠しにしているのだろうか。--- 産経ニュース(2017.6.4)より 抜粋 ---