言論の自由なんて皆無の国。◇◆ 逆転有罪であらためて言論の自由問われる韓国 ◆◇
【ソウル=名村隆寛】慰安婦問題に関する韓国の著書「帝国の慰安婦」をめぐる控訴審で、ソウル高裁が1審の無罪判決を破棄し、罰金1千万ウォン(約100万円)の有罪判決を言い渡したことで、韓国の言論・研究の自由があらためて問われることになった。
判決は、元慰安婦らの「名誉を毀損(きそん)する意図があった」としたが、それ以前に、肝心な事実の誤認や誤解を重視した上で、成り立っている。 その一つが慰安婦を「性奴隷」と定義した1996年の国連報告(クマラスワミ報告)だ。 この報告は、すでに虚偽であることが判明済みの「朝鮮半島で女性を強制連行した」といった故吉田清治氏の証言などを引用し、「性奴隷」であった慰安婦を「20万人」と記述。世界に拡散した誤解の根拠を作ったものだ。 また、判決は日本軍の関与と強制性を認めた93年の河野官房長官談話も認めた上で出された。 だが、朴裕河氏の著書は河野談話を否定せず、むしろ評価している。
判決は一方で「表現の自由」にも配慮し、議論の萎縮を懸念。 刑事処罰は望ましくなく、懲役3年の求刑を罰金刑にした根拠を説明してはいる。 ただ、“配慮”があろうが、名誉毀損を認めた有罪判決からは、韓国で慰安婦は絶対的な存在で、誰も否定できないことがあらためて示された。
裁判の争点は、著書の記述が虚偽か、元慰安婦の名誉を傷つけているか、著者に名誉毀損の意図があったかだが、もはや争点など度外視同然といってもいい。 著書の中の引用部分であろうが、真摯(しんし)な研究論文であろうが、歴史認識という韓国固有の“常識”や国民情緒の前では否定されてしまうのだ。 1審で言論の自由を示した韓国だが、再び国民感情という“法”が表現を自由にさせはしない国であることを示した。
1審判決は1月、職務を停止された朴槿恵(パク・クネ)前大統領を代行した黄教安(ファン・ギョアン)首相の下で、今回の逆転有罪判決は文在寅(ムン・ジェイン)政権で出された。 韓国の司法判断はこれまで、時の政権の意向をくんだものが少なくないといわれる。 今回の判決がそれに該当するのかどうか、韓国に言論の自由や司法の中立性があるのかどうかは、最高裁の判決を待つしかない。--- 産経ニュース(2017.10.27)より 抜粋 ---