なるほど。◇◆ 中国のSNSで「ライカ」とつぶやけなくなった理由 ◆◇
天安門事件から6月4日で30年。 これに合わせて今月公開されたLeica(ライカ)のプロモ動画が中国の逆鱗に触れ、Weiboをはじめ大手SNSから「ライカ」という単語そのものが消される一斉BANの異常事態に発展中です。
天安門事件の写真が逆鱗に触れる
動画は『The Hunt』というタイトルで、世界中の報道カメラマンの苦労を再現ドラマ風に5分で描いたもの。 南果早報によると、製作したのはブラジルの広告代理店F/Nazca Saatchi & Saatchiで、Leicaの広告製作実績のある会社なのですが、Leicaは「正式に許可したものではない」と説明に躍起。 YouTubeやVimeoの公式動画は瞬く間に地上から消えました。
残っているのは非公式の転載だけです。 ご覧のように「天安門」という文字はどこにも出てきません。 冒頭では、野生の獣をカメラで待ち伏せるハンターが写っていて、画面が切り替わって「1989年・北京」という文字とともに上がる銃声と叫び、現場を駆け回る報道カメラマン、カメラを没収する役人。 また画面が切り替わって、別の戦闘地域でカメラを没収するイカれた感じの軍人。 中東戦闘地域。 戦火。
「We hunt. We chase. We fight. We risk it all. 」というフォトグラファーの声。 最後には荒らされた部屋からLeicaのカメラを掴んで、あらゆるリスクを冒して窓に向かいます。 構えるそのレンズには、天安門事件を象徴する写真「タンクマン(戦車男、無名の反逆者)」が薄っすらと映っている…という、現実と虚構がない混ぜになったイメージ動画です。
Leicaのプロモなのに、Leicaが認めたものじゃない
中国ネット民の反感を買ったことについて、Leica広報のEmily Andersonさんは次のように南果早報に述べています。
“動画は正式な許可を経たものではなく、映像に描かれたコンテンツはLeica Camera AGと軌を一にするものではありません。誤解と混乱を招きましたことを深くお詫び申し上げます。”
LeicaはカメラだけでなくHuawei(ファーウェイ)スマホのレンズでも中国に参入していますしね…。 Huawei副会長が北米で逮捕されて以来、中国では米中摩擦で米国にムカついた国民”Huaweiのサポーターと化しています。 Huaweiスマホを持ってるだけで割引がもらえる店とかもあったり、今や中国ラブの象徴みたいなことになっているので、Leica社の公式アカウントには「Huaweiから仕事もらう資格ない」と怒りのコメントが殺到中なのだとか。
米国も1月には正式に「企業秘密の窃取、通信詐欺、司法妨害」容疑でHuaweiを提訴してますし、しばらく対決姿勢は続きそうですね…。 ちなみに現実の「タンクマン」は当時AP通信だった報道写真家ジェフ・ワイドナー(Jeff Widener)さんが撮ったもので、アメリカのオンライン投票では史上最高の歴史的瞬間TOP10に入っています。 使ったカメラはNikon FE2。--- GIZMODO(2019.04.22)より 抜粋 ---