比例代表制は、政党の得票率に比例して議席配分を決定する(または得票率に比例して候補者の当選順位を決定する)選挙制度である。 このため政党名簿を用いる方式(政党名簿比例代表)が一般的だが、単記移譲式投票等の、政党名簿を用いず候補者個人を選択する制度も、比例代表制として認知されている。 対立概念としては多数代表制がある。普通に生きていると・・・
相対多数派を優遇し死票を大量に発生させる「小選挙区制」または「多数代表制」の対極にあり、有権者の民意を最大限正確に立法府に反映させる制度である。 死票が少ない全国区やブロック制・道州制のような大選挙区が前提になるので、一票の格差による定数是正の必要が比較的少ない。
小選挙区多数代表制が大政党、特に二大政党に有利な選挙制度であるのに対して、比例代表制は第三位以下の少数派政党にもその得票率に比例した議席を与える。つまり二大政党制が必ずしも議会制民主主義の最善の形とは言えないということを前提にしている。 これを政党乱立(政局不安定化)と解釈するか、より民主的な制度(専制への予防)と捉えるか、で立場が分かれる。
比例代表制への批判としては、選挙民から候補者を選べないという不満が出やすい(拘束名簿式の場合)、同じくらいの力をもつ中規模政党が複数ある場合に各政党間に政策の一致がないと政争によって政局が不安定になりうる、強力な政権を生み出しにくい、などがある。
これに対して比例代表制を肯定する立場からは、政策重視型の政治を実現できる(政党比例代表の場合)、候補者と選挙民との個人的癒着が起こりにくい(拘束名簿式の場合)、多数代表制・二大政党制は実際には絶対少数派意見に基づく専制政治をもたらす(個々にはより少数である多様な諸意見が不当に封じられる)ので比例代表制の方がシステムとして安全である、自分の意見のみを通そうという考え方ではなく話合いによって他者のことを考えて皆にとって一番いい政策は何か考えることを政権に学ばせる意味で優れた制度といえる、そもそも民意が議席に正確に反映されることは民主主義にとって最大の利点である、などが指摘される。
なお、非拘束名簿式や単記非移譲式投票(大選挙区制)または単記移譲式投票(大選挙区個人比例代表)などの方式では、比例代表制でも個人単位で候補者を選択できる。 ただし政党ではなく個人を選ぶことは「候補者同士の競争が起こる」ことと表裏一体であり同じ政党の政治家の同士討ちや候補者と選挙民との個人的癒着を招く、との意見もある。 逆に、同じ政党の同士討ちも「その政党を構成する政治家を選挙民が選べる」ことと表裏一体でありそれを完全に防ぐと選挙民(とりわけ政党に所属しない人々)の自由度を下げる、という意見もある。